Deoxee デオキシー

心のデトックス読書のススメ/身もだえするほど痛くて笑えてしかも胸キュン東京タラレバ娘

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ステップ1
やさしくすばやくメイクを落とす

天然パールエキスと8種類のアミノ酸を潤い成分として配合した、低刺激でお肌にやさしいノンオイルタイプのクレンジングです。
ステップ1やさしくすばやくメイクを落とす

ステップ2
保湿しながら洗顔する

石けん職人の熟練技術に基づいた伝統製法により、20種類の天然由来成分を贅沢に凝縮配合することができました。
ステップ2保湿しながら洗顔する

ステップ3
オールインワンを極めました

厳選された天然由来成分と、先進技術による浸透性コラーゲンを配合し、化粧水、乳液、美容液の効用を1本に凝縮しました。
ステップ3オールインワンを極めました

突然ですが、ドラマ『選TAXI』がおすすめです。
バカリズム・脚本、竹野内豊・主演という異色タッグに、
ひそかに胸をときめかせていたのですが、これがまあ、大当たり……!
毎回かわる主人公たちが「あのときもしこうしていれば」という、
人生の分かれ目となった瞬間に戻り、選択肢を変えていく。
その手助けをするのが、豊演じるタクシー運転手・枝分(えだわかれ)さん。

ありますよねー、誰にでも「もし」の瞬間って。
ああ、まちがえた! ちがう、こっちじゃなかった!
そんなことの積み重ねで「今」があるわけですが、
枝分さんのいない現実では、ふりきって生きていくしかありません。
うしろ向きに「もし」を考えるのではなく、
未来のために「もっとこうすればいいんだ!」と前向きに考えよう!

……そんなふうに、思っていませんか。

「あと5キロ痩せれば」「ネイルをいつもきれいにしてれば」
「仕事も手を抜かずにがんばれば」
「毎日笑顔でいることを忘れなければ」
私たちはきっと幸せになれるはず。
そんな根拠のない、夢みたいなタラレバ妄想、抱いていませんか。

そんなすべての(自称)女子にお薦めするのが、
東村アキコさんの新作マンガ『東京タラレバ娘』。

いやあもう、おそろしい人ですよ東村さんは……!
「東京オリンピック開催決定にのきなみショックを受けていた
独身アラサー・アラフォーの女友達をネタに
そのまんまひどいマンガを描いてやろうと思った」という、
もうその精神からしておそろしいのですが、
「ひいいい、7年後私はどこでなにを……!」
「浮かれきった東京で独身のままオリンピックみるなんていや!」
という阿鼻叫喚とともに浮き彫りになった女子の不安や恐怖を
笑いとトキメキをまじえたフィクションに加工して
むきだしに描き切るその手腕はもう、見事です。まじで。すごい。天才。
(あ、ちなみに能年ちゃんで映画化する『海月姫』の作者です。これも傑作)

主人公は33歳、ネットドラマを中心に活躍する脚本家。
がむしゃらに頑張って仕事も充実しているけれど、彼氏はいない。
そのほか2名の親友も、美人でスタイルもいいのにやっぱり独身彼氏なし。

見た目も、性格も、稼ぎも、
すごく悪いわけでも、男が引くほどいいわけでもない。
それなのに彼氏がいない。結婚できない。なぜ!
わからない。
でもきっと努力が足りない。だからがんばる。
美容&ファッション誌の特集みながら、
「もっとこうすれば」とあてどない保証のない努力を続ける。

でもまわりをみてくださいよ。
彼氏がいる子はみんな美人ですか?
性格悪い子はすべからく不幸ですか?
その努力、正しいですか?

というのをつきつけられて、
「……でもじゃあ、どうしたらいいの…………っっ(号泣)」
となるアラサー女子たちの話です。
ほら、おそろしいでしょ☆

でもね、先述したとおりトキメキもあるのですよ。
主人公の前に現れる、20代の若くてクールなイケメン・ドSモデル。
彼との関係は1巻からすでに急展開を見せていて、
「ちょっ……! そこで終わるとか鬼かあんた……!」と身悶え。キュン死に。
まあ、一線超えたからといって、
わたし、年下の彼氏ができちゃいました、がんばった甲斐あって人生逆転。
みたいな展開にはぜ……っったいにならないと思うので、
それはそれで本当に楽しみ。

そして「『結婚したほうが絶対 絶対 幸せだよ☆』なんてみじんも思っていない」
という東村さんだからこそ描くことのできる、
みっともなさと誇らしさがカオスとなったアラサー女子の生き様が、
笑いに昇華され、そして私たちへの激励となっているのです。

「30代は自分で立ち上がれ」

イケメンモデルが放ったその言葉こそが、
この作品の真髄なのではと思うのです。

タラレバ娘、そして20代にあぐらをかいているタラレバ娘予備軍は、是非読むべし。
「わたし結婚してる(彼氏いる)し毎日幸せ。」って人も、
まわりに一人は必ずタラレバ娘がいるはずですし、
我が身をふりかえっても
身に覚えのない人はおそらくいないんじゃないかとも思うので、
ぜひ女子会の酒の肴にしてみてください。
あ、ちなみにこじらせ男子が「面白かった!」って言ってたから、
たぶん男子が読んでもおもしろいよ!

タラレバ娘

 

『東京タラレバ娘』(1巻)
東村アキコ 講談社KC Kiss 429円(税別)

 

About The Author

フリーライター作家橘 もも
講談社X文庫ティーンズハート大賞<佳作>受賞して作家デビュー。

大学卒業後、ダ・ヴィンチ編集部にて雑誌&書籍の編集者として勤務しつつ、作家業を続ける。現在は、フリーでライター・編集業(立花もも)、作家業(橘もも)の二足のわらじ。小説のほかにも、映画やゲームのノベライズ、絵本やノベライズの翻訳などを手掛ける